建築士事務所の仕事は設計図面を引くことだけではありません。現場が設計図通りに作られているかを確認する「現場監理」も非常に重要なミッションです。 その中でも一大イベントと言えるのが、コンクリート打設の立会、そしてその最初に行う「フレッシュコンクリートの受入検査」です。
今回は、現場でスムーズかつ確実に検査を行うためのポイントをまとめました。
1. 事前準備:打設計画と配合の再確認
現場に到着したら、まずは「準備」が整っているかを確認しましょう。
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現場の状況確認: 配筋検査の手直しが完了しているか、打ち込み場所の清掃や散水(湿潤状態の保持)が適切かを確認します。
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朝礼への参加: 少し早めに現場入りして朝礼を確認すると、作業員の配置、打設順序、バイブレーターの数といった詳細を把握できます。
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配合計画書の照合: 納品書と事前に承認した配合計画書を照らし合わせ、間違いがないかチェックします。 特に単位水量が 185 kg/m3 以下であることは必須条件です。
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時間制限の遵守: 練り混ぜから打ち込み終了までの時間は、外気温 25℃ 未満の場合は120分、 25℃以上 以上の場合は90分以内と決まっています。 これを過ぎたコンクリートは使用できません。
2. 検査体制とポンプ車の確認
ハード面とソフト面、両方の準備状況をチェックします。
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検査員の資格: 受入試験を行う担当者が「コンクリート現場試験技能者」などの適切な資格を持っているか確認します。
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器具のセッティング: スランプ試験の台が水平に設置されているか、塩分濃度を測る「カンタブ」の期限が切れていないか等を確認します。
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ポンプ車: 配置が計画通りか、またホッパーなどが綺麗に清掃されているかを確認しましょう。
3. コンクリートの採取と試験の立会
生コン車(トラックアジテータ)が到着したら、いよいよ検査開始です。
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撹拌の確認: 受入前にドラムを30秒間、高速撹拌させます。
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正しい採取方法: 一般的に「最初に出てきたもの」を使いがちですが、JIS規格(JIS A 1115:2020)では、最初の一定量を除いたものを試験サンプルとするよう定められています。
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測定項目と許容差:
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コンクリート温度と外気温: 打設に適した温度か。
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スランプ: 柔らかさの指標。設計値が 8< A< 18 なら許容差は 2.5 cm、 21 < A なら許容差 1.5 cm です。
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空気量: 普通コンクリートなら 4.5% ± 1.5 の範囲内か。
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塩化物量: カンタブ等で規定値以下かを確認。
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分離抵抗性: フロー 47 cm で水や砂利が分離していないかを目視で確認します。
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注意点: 試験に使用したコンクリートは、そのまま建物(躯体)に打ち込んではいけません。必ず排出・処分を確認しましょう。
4. 打設開始とテストピースの採取
検査をパスしたら打設開始ですが、ここでも注意が必要です。
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先送りモルタルの排出: 配管の潤滑性を高めるための「先行モルタル」は、型枠内に打ち込んではいけません。 ホース口からモルタルが抜け、コンクリートに切り替わったことを必ず目視で確認します。
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テストピースの採取: 1回 150 m3 または1日ごと、使用目的(調合管理用、型枠取外し用など)に合わせて3本ずつ採取します。
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養生方法の確認: 標準養生、現場水中養生、現場封緘養生など、目的に適した方法で管理します。
建物の骨組みとなるコンクリートの品質を守ることは、建物の寿命と安全を守ることに直結します。 現場での厳しいチェックがあってこそ、良い設計が形になるのです。
もし、実際の検査で不合格判定が出た場合の対応フローや、具体的なサンプル採取の手順についてより詳しく知りたい方は、お気軽にご相談ください。