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建築家が教える「勝てる中古不動産」選び 第4回:大相続時代の「勝てる」営業戦略

建築家が教える「勝てる中古不動産」選び : 第4回
大相続時代の「勝てる」営業戦略

── 建築士と組むチーム戦
2026年、日本の不動産市場は「大相続時代」のピークを迎えようとしています。団塊の世代から次世代へ、莫大な数の収益物件や邸宅が引き継がれ、市場へと放出されています。供給過多の市場で求められるのは、物件を右から左へ流す「仲介者」ではなく、物件の真のポテンシャルを鑑定し、リスクを排除できる「目利き」です。

① 「既存不適格」を「既得権」という武器に変える

相続物件の多くは、現在の建築基準法に適合しない「既存不適格物件」です。「法律に合っていないから融資がつきにくい、売りにくい」と諦める前に、建築家の視点で見直してみてください。

【建築家の視点】

既存不適格は、逆に見れば「今では二度と建てられない規模(広さや高さ)」を法的に維持している状態です。リノベーションという手法を使えば、その「既得権」を活かしたまま、新築以上の高利回りを実現できます。
用語:既存不適格(きぞんふてきかく)とは 建築当時は適法だったが、その後の法改正で現在の基準に合わなくなった建物。建て替えは制限されるが、大規模修繕やリノベーションなら現在の規模を維持できる。

② 「指値交渉」の根拠を科学的に作る

相続人は「早く手放したい」「管理が面倒」と考えているケースが多いですが、根拠のない値引き要求には応じません。「古いから安くして」は通用しない——しかし、建築的・科学的な根拠があれば話は別です。

【科学的根拠による交渉の例】

「躯体診断の結果、コンクリートの中性化対策に○○万円かかる」「耐震補強の鉄骨ブレースで駐車場が1台分潰れるため、収益性がこれだけ落ちる」——こうした建築的・定量的な根拠があれば、相続人も納得せざるを得ません。
建築家を内覧に同行させ、その場で「隠れた改修コスト」を算出させる。これが投資家の利益を最大化する最強の交渉術です。根拠のある指値は、売主・買主双方にとってフェアな取引を生みます。

③ 「コンバージョン(用途変更)」でブルーオーシャンを狙う

市場に溢れる「ありふれた古いアパート」をそのまま売っても、価格競争に巻き込まれるだけです。建築士との連携によって、物件を「化けさせる」提案が可能になります。

【コンバージョンの実例】

✓ 駅から遠い広い住宅 → サテライトオフィス付きシェアハウスへ転換
✓ 空室だらけの古いオフィスビル → 高天井のデザイナーズ賃貸へ転換
営業担当者が物件を見つけた時点で、建築家が「用途変更の可能性」をシミュレーションします。顧客に「今の家賃」ではなく「再生後の想定家賃」を具体的な図面とともに提示することで、他社には真似できない提案が完成します。

④ 富裕層が求めているのは「安心」という名の鑑定書

個人投資家や小規模な投資団体が狙うべきターゲットは、数字にシビアな富裕層です。彼らは「安さ」よりも「将来のトラブルリスクがないこと」を重視します。

【設計事務所が発行できる「権威」】

仲介会社の口頭での「大丈夫です」に法的根拠はありません。しかし、一級建築士事務所が発行する「建物状況調査報告書(インスペクション)」には、専門家としての法的責任と権威が伴います。これが富裕層の「安心」に直結します。

「私は不動産のプロとして良い物件を探します。中身については、この一級建築士が診断し、30年持たせるための改修計画を立てます」——この役割分担こそが、顧客に深い安心感を与え、リピーターを生みます。

私たち設計事務所との「チーム戦」へ

大相続時代、物件情報は溢れていますが、本当に価値のある情報は「その物件をどう再生し、どう出口戦略を描くか」という建築的知見に集約されます。
「仲介手数料をもらって終わり」のビジネスは終わりました。物件の裏側を暴く建築家と、その表側を売る営業担当者。このタッグこそが、これからの不動産市場を勝ち抜く正解です。
当事務所では、物件選定の段階から営業担当者と連携し、躯体診断・改修計画・用途変更シミュレーションまでをワンストップで対応します。大相続時代の「目利き役」として、ぜひご活用ください。

用語解説

既存不適格(きぞんふてきかく):建築当時は適法だったが、法改正により現行基準に合わなくなった建物。規模の「既得権」を持つ。
指値(さしね):買い手が希望する購入価格。建築的な瑕疵を根拠にすることで、論理的な交渉が可能になる。
コンバージョン:建物の構造を活かしつつ用途を全く別のものに変えること。収益性を劇的に改善する手法の一つ。
インスペクション:専門家(建築士)による建物の状況調査。雨漏りやひび割れの有無など建物の健康状態をチェックする。

 

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