名古屋テレビ塔の14年ぶり塗装工事に学ぶ!長持ちする建物づくりのヒント
こんにちは。一級建築士の視点から、日常のニュースを少し深掘りしてお届けするコラムです。
今回は、2026年7月21日からスタートした、名古屋のシンボル「中部電力 MIRAI TOWER(旧 名古屋テレビ塔)」の大規模な塗装工事のニュースを取り上げます。
なぜ、塗り替えに「7年」もかかるの?
1954年に誕生したテレビ塔は、これまで約7年ごとに全体を塗り替えて、その美しい姿を保ってきました。しかし、2020年にタワー内にホテルがオープンし、足元の公園もきれいに整備されたことで、昔のように「タワー全体に一度に足場を組んで塗る」ということが難しくなってしまったのです。
そのため今回は、なんと14年ぶりの塗装となり、タワーを8つの部分に分けて、2032年までの7年という長い歳月をかけて少しずつ塗り替えていく一大プロジェクトとなっています。
塗装のヒミツ:なぜ「下地」から削り落とすの?
今回の工事の大きなポイントは、ただ上からペンキを塗るのではなく、長年たまった古い塗料やサビを「下地(鉄の素肌)から徹底的に削り落として」から塗り直すという点です。
「上からサッと塗ったほうが安くて早いのでは?」と思うかもしれません。しかし、今の「錆止め(さびどめ)」塗料は昔と比べて劇的に進化しており、水や空気を完全にシャットアウトするバリアのような素晴らしい性能を持っています。
そのすごい性能を100%発揮するためには、鉄骨の素肌をピカピカにして、そこに直接塗料を「ピッタリと密着」させる必要があります。古い塗膜の上にいくら良い塗料を塗っても、下の古い部分からパラパラとはがれてしまっては全く意味がないのです。
このように、最初は少し手間とコストがかかっても、結果的に長持ちさせて将来のメンテナンス代(ライフサイクルコスト)を安く抑えるのが、今の「建物を長持ちさせる」プロの考え方です。
古い工場のリニューアルにも通じるヒント
実はこれ、私たちが普段手がけている「工場や倉庫のリニューアル」にも全く同じことが言えます。
「工場が古くなったから」と、とりあえず安い塗料で上塗りしても、数年でまたはがれてやり直し…となりがちです。しっかりと建物の状態を「診断」し、適切な下地処理をすることが、一番の節約になります。
また、テレビ塔の中にあるホテルは、無骨な「鉄骨」をあえて隠さず、むき出しのままカッコいいデザインの一部として見せています。工場でも同じように、古い鉄骨を隠すために無駄な壁や天井を作る必要はありません。
最新の「建築法規の裏技(避難安全検証法など)」をうまく使えば、邪魔な壁や煙を防ぐ垂れ壁などをなくして、広々とした使いやすい空間に生まれ変わらせることができます。しかも、無駄な設備が減る分、コストも大きく下げることができるのです。
おわりに
古い建物を長く、無駄なく使い続けるためには、「正しい診断」と「賢い法律の使いこなし」が欠かせません。
「うちの工場、古くなってきたし使い勝手も悪いけど、どうしよう…」とお悩みの経営者様。ぜひ一度ご相談ください。専門用語は使わず、御社にとって一番お得で確実な方法を一緒に考えさせていただきます!