皆さま、こんにちは。先日ご報告した新本社ビル計画(鉄骨造4階建て・免震構造・延床面積約4,000㎡)ですが、コンペ当選という嬉しいスタートから、いよいよ「建物を現実に着地させる」フェーズへと本格的に移行しています。今回は現在の作業模様をご報告します。
- 施主ニーズの反映とプランのブラッシュアップ
コンペ当選後、施主様との対話を重ねる中で「具体的な使い勝手」に関するご要望が次々と出てきました。初期提案のコンセプトを大切にしながら、日々の業務効率や動線を最適化するための変更案を作成しています。
特に力を入れているのが水回りと階段まわりの徹底的な詳細検討です。毎日使う場所だからこそ、わずかな寸法の違いが快適性を大きく左右します。配管の納まりや昇り降りしやすさなど、実施設計での手戻りを防ぐために細部まで丁寧に詰めています。仕上げ材や設備システムの基本仕様についても、デザイン性・コスト・メンテナンス性のバランスを整えながら確定を進めています。
- 法規チェック
建物を「確実な形」へと落とし込むうえで、法規の確認は設計の根幹をなす作業です。今回のプロジェクトでは、建築基準法をはじめとする関連法規への適合を丁寧に確認しながら設計を進めています。
特に重点的に取り組んでいるのが、既存工場との関係における法規整理です。新設する本社ビルを法的に「別棟」として扱うための調整を行うことで、既存工場への現行建築基準法の遡及適用を回避します。また、用途・防火・避難計画など、建物の性能に直結する法規項目についても、実施設計に向けて一つひとつ確認・整理を進めています。
用語メモ:遡及適用(そきゅうてきよう)
法律改正の際、改正前の基準で建てられた既存建物にも新しい基準への適合が求められること。「別棟」と認められない場合、既存部分すべてを現行法に適合させる膨大な改修コストが発生するリスクがあります。
- 既存工場との「接続」——渡り廊下の設計
法規上の「別棟」整理と密接に関わるのが、渡り廊下の仕様策定です。新旧の建物を繋ぐ渡り廊下は、利便性を確保しつつ、構造的・防火的な縁を切るという、一見矛盾するような高度な設計が求められます。この「繋ぎ方」の最適解を、関係者と連携しながら導き出しています。
- 実施設計に向けた問題点の洗い出し
図面を引くだけでなく、施工段階で起こりうるトラブルをこの段階で徹底的に排除することにも力を注いでいます。鉄骨造(S造)4階建て・免震構造という高度な仕様において、意匠・構造・設備の各図面の整合性をミリ単位で検証しています。
今後予定されている実施設計の応援を見据え、施工会社様が迷いなく詳細図を作成できるレベルまで基本設計の精度を引き上げることが現在の最大の目標です。
「地味で緻密な作業」こそが、最終的な建築の質を決め、施主様の満足度と施工の円滑さを担保します。法規チェックや納まりの検討を疎かにすると、工事中の設計変更という最悪の事態を招きます。今、問題を出し切ることが最大のコストダウンに繋がる——そういう信念で、日々図面と向き合っています。
引き続き、技術的な裏付けを持ってプロジェクトを完遂へと導いてまいります。また進捗をお知らせしますね!